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中富良野町オリジナルインクを作ろう!

1 中富良野小学校オリジナルインクプロジェクト

中富良野小学校では、総合的な学習の時間に中富良野町を「色」に注目しながら探索し、オカモトヤさんと協力しながら、オリジナルインクを作成する学習に取り組んでいます。
中富良野の自然を色に落とし込み、自分たちだけのインクを作る経験の中で、地元の美しさに気づくこと、またインクを様々な人にPRすることを目標にしています。
長期的には、インクを吸い込ませ、オリジナルペンを作成し、観光客に配布する活動や、ラベンダー、夕日、山、雲、空、キタキツネ、シマエナガ・・・など、豊かな自然の色をインクで再現し、どの色にするのか、本気で考えていきます。ビンテージワインのように毎年の違いを楽しむ持続的な活動に成長させていきたいです。

2 価値創り体験と強い味方

中富良野小学校では、今年度から、価値創り体験を総合的な学習の時間の中心に据えています。その中で、コミュニケーション力、自分を知る力、自分を生かす力、探究心、創造性、チャレンジ精神の向上を狙っています。

昨年度は、ゲストティーチャーとして町の講演会などを行ってくれた尾崎えり子さんが今年度は、町の教育アドバイザーとして、総合的な学習の時間の授業にも関わってくれることになりました。価値創り体験は、子どもたちにとっても初めての体験が多く、難しいところがあるため、要所要所で子どもたちにアドバイスを与えてくれる方が必要でした。

3 尾崎さんがこだわったのは「困り事」

尾崎さんと2回ほど授業の打ち合わせをしました。打ち合わせをしていて、昨年から感じるのは、尾崎さんが「子どもたちは困っているのか?」「困っているとしたら何に困っているのか?」を探ることに強くこだわっているという点です。授業づくりでは、どう展開していくのか?何をすれば盛り上がるのか?どう発問するのか?というところに目が行きがちですが、終始一貫して、尾崎さんの授業づくりは、「子どもたちが困っていることを解決すること」を軸に進められていきます。

そこで、私は、ふと立ち止まります。「子どもたちはどこに困っているのか?」と。今回の授業では、前時の授業で、子どもたちの第一案であった「ラベンダーインク」を調べたところ、インターネット上に数多く売られていることを知り、何色にしたら良いのかを思案していた様子から、「何色にしたら良いのか分からない」を困りごとと仮定して、授業づくりを行いました。

私は、授業を行う際、失敗を予期して先回りし回避する習性があります。さらに、毎日、子どもたちと接していると「ここで突っかかりそうだな」「これは難しそうだな」というところが分かってきます。子どもたちが困る前に、何かを差し出すということが当たり前になってきます。それは、日常の学習を円滑に進める点では有効です。

しかし、教科の学びの全てを生かす総合的な学習の時間では、困ること、失敗すること、そしてそれを乗り越え、学び取っていくことを大切にしたい、そう思っています。

4 思いついたのは・・・

子どもたちの困り感を学びに変える。ゲストのアドバイスを楽しく受け入れられるように、考え出したのが、銭天堂のシチュエーションです。
尾崎さんが店主となり、子どもたちの総合の授業の困り事を、お菓子や道具で解決する。そんな授業です。
看板を書写が得意な先生に、お菓子はイラストが得意な先生に手伝ってもらいながら、職員の力で、銭天堂ならぬ、「視点堂」が誕生しました。

多くの職員の協力で視点堂完成!

5 授業の様子

尾崎さんの紹介動画のあとに、音楽とともに尾崎さんが登場。
子どもたちから「銭天堂好きなんだよな~」というつぶやきが聞こえました。
後方の児童も思わず立ち上がって、画面を見つめていました。

視点堂店主と話し合う子ども達

早速、店主のえり子さんが、困り事がないか聞き出します。「インクを作る方法を知りたいです・・・」「インクの色を決めたいのですが・・・」それならばと、えり子さんが取り出したのは、「はてなわたがし」どんどん疑問を膨らませていけるわたがしを紹介してくれました。子どもたちは、ここからメインのワークに入っていきます。「中富良野のラベンダー」に関わる疑問をたくさん出してみよう!!というワークを行いました。はじめは、「ラベンダーは本当に紫なの?」「ラベンダーの色は何種類あるの?」「ラベンダーの紫はどうしてあんなにキレイに見えるの?」など色を中心に考えていました。そこで、店主のえり子さんがアドバイスをくれました。「色を決めるときも、色のことだけ考える必要はないよ。むしろ色から離れて考えることで、誰も考えつかないような色を思いつくかもしれない。」ここから、さらに子どもたちの学びは加速していきます。「ラベンダーは、食べられるのか?」「ラベンダーは、そもそもいつから中富良野にあるのか?」「もし、中富良野にラベンダーがなかったら、何が名物なのか?」中には、用意した100枚の付箋を使い切るグループも出ました

尾崎さんから問いを作る上でのヒント


最後に、えり子さんからまとめの一言をいただきました。
色をすぐに決めようとしなくていい。
新しいものを作るときは、色んな可能性をまず膨らませることが大切という言葉をもらいました。

6 子どもたちの感想

・当たり前を少しずらして、当たり前を疑ってみた。
・一つの疑問を浮かばせて、そこからつながる疑問をどんどん蜘蛛の巣みたいに頭の中で作って考えた。
・インクを考えるときに、同じ色が世の中にあったとしても、可能性がなくなると思い込んでいたらだめなんだなと思いました。
・いろいろな視点から見て、ぶっ飛んだ疑問が出ても、それではてなを膨らませることができる。
・とにかく思ったことを書きまくること、五感を使うことが大切。
・視点をお菓子にするという表現が面白いと思った。
・前提となる場所を変えたりすると疑問がたくさん出ることがわかった。

児童の感想より

7 終わりに

「視点を駄菓子にして、これからも皆さんが新しいものを考えたい時に現れます。」といって、店主のえり子さんは、笑顔で手を振ってくれました。子どもたちも帰り際、丁寧にお礼を言っていました。これからのオリジナルインク作り、子どもたちと一緒に困りながら学習を楽しく進めていきたいと思います。


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